書かなければ、なかったこと

40代後半、広告制作→相談支援業→児童指導員(療育)趣味は水泳と書道。

当たり前だけど、自分の立っているところから見えるものしか見えない

 ここ半年、大きな病気をして仕事も休んで治療に専念する毎日を送っている。

 病気っていうのは乳がん。気を付ける年代になったのは知っていたし、可能性はあるのだと思っていたけど、実際に告知を受けると全く違う世界に踏み出すことになった。

 8月30日、告知前の更年期障害はあるけどまあ健康な自分と、告知後の死の可能性や自分に起きる様々なことや家族に及ぼす影響を考えずにはいられない自分との間には大きくて深い溝が横たわった。もう跨いで戻ることができないのだ。

 とはいえ治療に入るに当たっては、必要に応じて色んな人に報告や説明をし、その時のそれぞれの反応に、大きなショックを受けることになった。

 職場の上司に話をした際には、「まあ、二人に一人はがんになる時代だからね!ははは!」、弟に知られて説明した時には「まあ、頑張って。勉強と一緒よ。やれば結果が出るから」など、ただただ心を抉られるような反応に出くわした。

 姉に至っては「あなたのそういうものの考え方のせいで、、、」と始まったところでこれ以上聞いてしまっては心臓が持たないと、電話をぶち切ってしまった。

 また、自分の一番辛かった経験をいかに乗り越えてきたのかを切々と語り、だからあなたも大丈夫、という論法も複数聞かされた。

 救いだったのは、夫や母のサポート。それから、看護師をしている友達と福祉相談職をしている友達が定期的に、連絡をくれて気持ちに寄り添って困りごとなど聞いてくれたこと。必要だと思われることを調べたり、有益な情報をくれた。何度も何度も救われた。

 今の私は、言いたいことを言う人とそう気楽に付き合える状態ではないのだろう。私の気持ちを察してくれる人ばかりではないのは分かっている。当たり前だけど、自分の立っているところから見えるものしか見えないのだから。